| 朝日新聞のインタビューにおける王毅大使の応答要旨 |
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| 2005/11/15 |
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――小泉首相が5回目となる靖国神社参拝を行ったが、これをどう見るか。 確かに双方の立場の対立が続いているが、なんとか善処策を見出す必要がある。中国側としては、靖国神社の歴史観があまりにも国際社会とかけ離れているとも言え、日本の一般民衆が自分の家族を偲びに行くことに異議を唱えていないし、B級、C級戦犯のことを外交問題にしていない。問題を解決するため、焦点をA級戦犯だけに絞っている。 A級戦犯はまさに対外侵略を引き起こした当時の軍指導部の象徴的存在で、そしてそのほとんどが対中侵略に加担していた。したがって、A級戦犯の取り扱い方は、日本の戦後処理、そして国際社会への復帰、33年前の中日国交正常化の原点にかかわる問題で、もはや一国の文化を超える部分がある。A級戦犯が祭られている所に日本の最高指導者が「敬意」を表しにいくことに対して、戦争被害国国民はなかなか理解しにくいものがある。 日本の内政に干渉するつもりは毛頭ない。中国民衆の要望も無理なものではない。1985年以降歴代内閣のやり方に戻れば、この問題の解決になる。原則論はともかくして、感情論からにしても、加害者としての日本が、最大の被害を蒙った中国民衆の感情に配慮する必要があるだろう。少なくとも、戦争被害国国民の心を傷つけ、昔の悲惨な記憶を思い出させることは避けたほうがいい。隣の国のほとんどの民衆がいやがることを控えるのは、隣人同士のつきあい方ではないか。 確かに靖国神社問題は中日関係の全部ではない。しかし、この問題を善処出来なければ、中日関係全般に影響する恐れもある。それは双方の利益にもならない。日本言論NPOが中国で行ったアンケート調査の結果によると、九割以上の中国人は靖国参拝に関する歴史問題が中日間の主な問題だと考えている。この現実を無視するわけにはいかない。言い換えれば、この問題を乗り越え、のどにさしかかっているとげを解いていけば、中日関係全体が良くなり、新たな局面を迎える。 ――新しい国立追悼施設についてどう考えるか。 日本自身の判断で解決するものである。日本政府の対中侵略戦争に関する立場は徐徐に明確になってきたが、問題は実際の行動と態度のずれだ。どうやって戦争被害国の国民と心の和解が果たせるのか、どうやってアジア隣国とうまくつきあっていけるのか、賢明な判断を期待する。 ――今春の反日デモでも、日本国内には、中国側がデモや破壊行為を放置したのではないか、との印象があるが。 この前のデモは自発的なもので、中国政府が容認したものではない。その中に現れた違法行為に対し、中国政府は勿論反対する。公安機関がきちんと法的措置を取ってきた。今後も法律に則って対処していく。北京の日本大使館及び大使公邸などの被害に対しては、中国側の関係会社がいつでも修理できる準備をしている。一方で、なぜこれだけ大勢の若い人たちが町に出て日本への不満を表明したのかについても見過ごすことが出来ないと思う。やはり毎年の参拝に対する、民衆レベルの不満が募ってきたのではないか。 ――愛国主義的な反日教育が問題だ、との見方もあるが。 そうではないと思う。中国政府が一貫して、対日友好政策を取っている。デモの後でも、中国の指導者は友好政策を堅持していくと表明している。この政策と矛盾するようなことはやれない。また、言論NPOが行ったアンケート調査の結果をあげると、中国民衆の八割以上が教科書よりも日頃のマスコミから日本に関する情報を得ている。中国にすでにテレビ局が314あり、新聞紙が2200種類ある。情報化が急速に進む中で、日本国内のことがたちまち中国に伝わっていく。国内向けの発言も、時々国際的トラブルになる。 ――日本の国連安保理常任理事国入りをどう考えるか。 中国の安保理改革に関する立場は連続性の持つものである。一つは、できるだけ発展途上国の代表性と立場を反映する。二つ目は、改革をコンセンサスで行う。この従来の立場は特定の国に向けるものではない。日本が国際舞台でもっと積極的な役割を果たしたい気持ちは十分理解する。そのために、アジア隣国の理解と信頼を得ることは急務だろう。選挙と同じように、まず地元を固め、近所の支持を得るのが筋である。その意味で近隣外交の打開がまず日本自身の利益に合うのではないか。 ――憲法改正をめぐる動きをどう見るのか。 基本的には日本の内政だと思う。ただ隣国としても関心を持ち、日本が平和発展の方向を継続していくことを希望する。日本は戦後平和発展の道を歩み、大きな成果をあげており、国際社会からも評価されている。こうした大きな実績を踏まえて、平和発展の道を堅持することは日本の利益に合うし、隣国が望む所でもある。 ――東アジアサミットをどうとらえるか。 アセアン側から最初に提案したもので、その間に、若干修正があったりしたが、10+3という東アジア協力が今後も着実に推進されていくために、域外の国々、特に地理的に隣接している国々の理解が欠かせない。今回のサミットはある意味では、10+3がその近隣と意思疎通する場である。積極的に考えると、東アジア協力が徐徐にアジア全体に拡大していくだろう。すると、今回の会議は10+3をアジア全体の協力につなげていく役割があると思う。 ――日本は米国の参加を意識しているが。 アメリカが参加するかどうかは、一応アセアンが決め手を持っている。TACの加入など三つの条件を満たす必要があると言われている。アメリカは本地域で伝統的影響と現実的利益が存在しているので、お互いに尊重しあい、アメリカをはじめ域外の国々と対話を保ちながら、地域協力を推進するという開かれた地域主義を取る必要があると思う。 ――東アジア共同体構想に対する立場は。 東アジア一体化の実現には、ロードマップが必要だ。一つは、アセアン共同体が先行して、東アジア共同体がそれについていくことになるだろう。二つ目は、みんなの共通利益がある経済問題から着手したほうがいい。三つ目は、まず貿易から、それから資本や金融の協力になっていくだろう。時間はかかるが、大きな方向としてはそうなるだろう。 中日両国が競争関係にあると言われるが、日本と競い合うつもりはない、むしろ日本にもっと積極的な役割を果たしてほしい。中日はそれぞれの長所と強みを生かして、手を携えて、ともにアジアの振興に努力していける。これは両国の新しい共通利益でもある。そして、アジア全体のFTAプロセスが進む中、中日間のFTA交渉がまだ始まっていない。中日の貿易がアジアにおける重みからみても、少なくとも早くその研究をスタートさせた方がいい。 ――日米間で「台湾問題の平和的解決」が戦略目標に掲げられたが。 台湾問題の性格は中国の内戦から残された内政問題であり、海峡両岸の中国人同士が自ら解決するものである。大陸側は最大限の努力を払って、平和統一を目指している。日本やアメリカがそれぞれ中国に対して、平和統一してほしいという要望を出すのであれば、勿論理解するが、日米両国の戦略目標に入れると問題になる。もともと日米の間の問題ではないのだ。 ――東海のガス田開発問題は共同開発のあり方を含め、どのような解決方法があると考えるか。 この前の協議で日本側からはじめて共同開発の提案が出され、中日双方がやっと同じ土台に立つことが出来た。今中国側も対案を作っているので、少し時間かかるだろう。いずれ協議が再開されると思う。対話を通じて解決していくほかに道がない。双方が対話を積み重ねて、成果をあげていくことを望んでいる。 ――両岸対話の見通しについてお聞かせ願えるか。 両岸関係にいい勢いが現れている。連戦氏などが続々と大陸を訪問したことは、中国の平和統一事業にプラスであり、両岸の民衆からも歓迎されている。なぜ対話が実現できたかというと、連戦氏らは「一つの中国」を認めたからだ。台湾島内のどの政党であろうと、「一つの中国」の原則を受け入れれば、要するに、自分が中国人であるということを認めれば、どんな問題でも対話を通じて解決する用意がある。 ――中米関係の現状をどのように評価するか。 中米間の共通利益が増えている。たとえば、テロ反対、核拡散防止、経済発展など三つのアメリカがもっとも重要視されている分野でも中国は協力出来るし、現に協力している。中米関係を揺るがす最も重要な台湾問題においても、共通利益が生まれている。一つは双方とも台湾独立に反対し、二つ目は双方とも台湾海峡の安定を望んでいる。最近米高官の発言が示しているように、米国は中国の平和的台頭を善意的に受け止めようとしている。 ――北朝鮮の核問題について、中国が果たすべき役割、今後の見通しをどう考えるか。 二年余りの協議を経て、一連の成果が出来たと思う。対話しか解決の道がないと六ヶ国が分かっているので、今後この協議が継続されていくと思う。その中で、日朝、米朝関係の正常化問題も議論し、解決していける。拉致問題について、私が議長の時、朝鮮側の代表に働きかけていたし、今の議長もやっている。もっと先のことを見れば、六カ国協議の場を通じて、朝鮮半島を停戦協定の状態から恒久平和のメカニズムに変えていく目標もあり、最終的に、半島の地域安全メカニズムが形成していくのではないか。 ――中国の将来について、バラ色の未来を語る人もいれば、「いつ崩壊するかわからない」という人もいるが。 私はいろんな国を回っているが、どうも日本の中国を見る目がほかの国より厳しいようだ。事実としてここ20年余り、中国は大きな進歩を遂げ、周辺国、或いは国際社会にも利益をもたらしてきた。問題も前進の過程においていろいろ出たが、いずれも解決の方向が示されている。隣国の日本には、ぜひ毎日がんばっている中国を温かい目で見守っていただきたい。
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